”カクテルパーティ効果”により好きな香りを選択する人間の臭覚

2017.04.10 [Mon] 店舗情報

アロマテラピーとは   レポート4

生命の躍動・匂いの伝達

神経経路もう少し詳しく

 

嗅覚の神経経路

匂いの化学情報は嗅上皮でインパルスへ変換され、嗅球から伝達信号をまとめて脳の各部位に送られます。そのインパルス転送は大きく2つの経路があって、喜怒哀楽などの感情的な扁桃体への経路と匂いのイメージを創造する嗅皮質経路に分かれています。扁桃体経路については、自律神経系や内分泌系の中枢・視床下部へ向かうルートで、匂いによる生理的な効果が期待できます。

一方、イメージを作る嗅皮質経路では主に記憶をつかさどる「海馬」や、味覚などの他の感覚を統合する「前頭野」へ波状的に電波され、お互いに匂いの認知力を高めます。

最近の研究において「前頭野」と「海馬」のルートは、非常に記憶に関して重要な経路であると認識されます。その主な理由としては、匂いのイメージと他の感覚との統合による感覚異次元の向上、つまり香りを記憶として残す準備や各感覚の情報交換によって意識デザインを目覚めさせ、新しい記憶経路である神経インパルスを発生させたり、記憶の引き出しに寄与したりするからなのです。

ヒトは見たいものを見、聞きたいものを聞き、美味しいものを食べる習慣があり、心理学的に”カクテルパーティ効果”というエピソード記憶の体験や情報だけを好んで残そうとする傾向にあります。嗅覚においても同様な傾向を持ち、私たちは好んで嗅ごうとする香りを大切に選択し保持し続けます 。(つづく)

 

問題(^。^)

無意識に匂いを嗅ぐことと、意識的に匂いを嗅ぐことは何か違いがある?

【回答】

知らない匂いは思った以上に知覚的に認識しにくいことが分かっています。 意識的に匂いを嗅ぐことは脳の発達にも貢献する要因の一つに数えられ、何事にも意識して匂いをかぐことで学習能力を高めることができます。

 

問題🌿😄

ヒトは動物と比較して鼻の効き方はどう違うの?

【回答】

人の嗅覚受容体は約400種類ほどです。犬の嗅覚受容体は約800種類あって、周知のごとく人より犬の方がよく鼻が効きます。人種の違いにおいてもアジア人、白人、黒人またはマサイ族などの狩猟民族は時代と共に各々遺伝子に少しのズレが生じていますし、生活での匂いの経験や豊かさによって香りの感じ方、反応に差が出てきます。(自分の感覚機能を他人に正確に伝えられないことが個人差つまり「性格の違い」としてとらえられる)

では、長い鼻を有するゾウはどうでしょうか? アフリカゾウは約2000種類の嗅覚受容体を有しており、数キロメートル以上遠方にある水の匂いや体臭なども容易に嗅ぎ分けられると言われています。ちなみにゾウの嗅覚能力は、なんと犬の嗅覚の2.5倍あって、人には計り知れないほどの世界観があるといいます。

アロマエッセンスの特集(各論:アロマ図鑑特集編No4)

イランイラン(cananga odorata)ノート:ミドルからベースノート

甘い重みのあるエキゾチックな香りといえばイランイランのエッセンス。このイランイランは木からぶらさがって咲く花の美しさ、マレー語の”アランイラン”花ばなの中の花からその名がついたそうです。このオリエンタルな香りはココナッツオイルなどと混ぜ、古くから整髪料や皮脂の分泌調整剤として使用されます。また、催淫作用を有するともされ、インドネシアでは新婚のカップルのベットインにイランイランの花びらを用いる習慣もあるそうです。

 

片頭痛患者に対するアロマテラピーの効果

対象者は片頭痛患者20名、健常者20名とし、方法は16種類の精油を3秒間嗅いでもらい、それぞれの香りに対する 好み、香りの強弱、リラックス度、集中度、頭痛誘発の項目調査をした。好きな香りとリラックスができる香りの上位7種を選択し、結果は片頭痛患者&健常者にとって心地よい香りであって、片頭痛患者が好む香りでリラックスできる香り、オレンジスイート、グレープフルーツ、イランイランが選択され、芳香浴で片頭痛の頭痛発作回数の改善度を検討した。

【結果】

精油別の頭痛発作回数はオレンジスイートがアロマテラピー導入前で9.4±5.4回から7.4±4.4、グレープフルーツ6.1±3.9から4.2±2.9、イランイラン7.8±4.1から5.8±3.1それぞれ減少。

オレンジスイートはtotal mood disturbance、緊張~不安、怒り~敵意、疲労が優位に低下(p <0.05)、グレープフルーツは怒り~敵意は優位に低下(p<0.05)、イランイランはBDI(beck Depression Inventory)が優位に低下した(p<0.05)。

 

AEAJ機関誌参照ほか

参考文献:Hisatake Iwanamiら ; Effect of aromatherapy in patients with migraine: Japan Journal of aromatherapy, Vol. 15, No. 1, 2015

http://www.aromakankyo.or.jp

≪AEAJ認定アロマテラピーインストラクター監修≫

**なお、本文は著作権によって保護されています**


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